川北輝のメディアアート展 in MIYAKO

Exhibition

僕は広島で育った。「宮古市の海は瀬戸内の綺麗な海とどこか似ている」 そんなふうに感じた。

浄土ヶ浜の絶景を眺めていたとき、子どもの頃の記憶があざやかによみがえった。

川遊びに夢中だった日々。自分の名前に「川」が入っていることもあって、川や水辺は僕にとって特別な場所だった。川のせせらぎや水の冷たさ、その流れがやがて海につながることへの不思議な感覚。そして、海――あの広がる青と波の揺らぎ。そこにいると心が洗われる。

母と一緒によく行った回転寿司も、忘れられない思い出の一つだ。あのころはサーモンが大好きで、回ってくるたびに手を伸ばした。濃厚な味が口の中に広がる瞬間がたまらなく幸せだった。その後にもらえるコインでガチャガチャを回すのがいつものルーティン。カプセルが出てくるときのドキドキ感は、今でも記憶に残っている。

些細なことかもしれないが、その一瞬一瞬が僕の心を満たしてくれた――宮古市には、僕が子どもの頃に愛したすべてがある。

青く広がる海、自然の温かさ、美味しい食べ物。そして、ワクワクする瞬間。そんな「好き」が詰まったこの場所で、僕は自分の原点を見つけた気がする。

本展覧会は、そうした「好き」の記憶と、宮古市という場所に宿る自然や文化を重ね合わせながら、メディアアートを通じてその感覚を再構築する試みである。青い光が生む波紋、触れるたびに変化する動き、そして繰り返しの中に隠された偶然の美しさ。これらはすべて、人々の中に眠る記憶のかけらを再構築しながら、観る者に新たな感覚を芽生えさせる。この空間には、僕が感じた宮古市の美しさ、懐かしさ、そして未来への期待が込められている。誰もが一度は感じたことのある「好き」の記憶が、ここでアートという形を通じて呼び起こされることを願っている。

【開催情報】

会場: 宮古市民文化会館 展示室

場所: 岩手県宮古市磯鶏沖2−22

会期: 2025年2月8日(土)、9日(日)、11日(火祝) 10:00-17:00 ※最終日は16:00まで

入場料: 500円

関連イベント:
アーティストトーク① 「デジタルで感じる宮古の魅力-子どもの感性を育む地域のメディアアート-」(2月8日 (土) 14:00〜14:30)
ワークショップ 「宮古の自然素材で写真を手づくりしよう!」 (2月9日 (日) ①11:00〜12:00 ②15:00〜16:00)
アーティストトーク② 「AIってどう使う?家庭で始めるデジタル時代の教育」 (2月11日(火・祝) 14:00〜14:30)

詳細情報は下記よりご覧いただけます。

公式HP: https://iwate-arts-miyako.jp/event_mb/20250209_airkawakita/

主催:特定非営利活動法人いわてアートサポートセンター
共催:宮古市・宮古市教育委員会
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業))|独立行政法人日本芸術文化振興会
企画・制作:宮古市民文化会館|令和6年芸術文化事業|ワンコインシリーズ

タイトルとURLをコピーしました